「よい上司ほど部下をダメにする」(講談社)

よくありがちな題名で、それほど自分のアンテナに引っかかりにくいのだが、The Set-Up-To-Fail Syndoromeという原題見て昔どっかでかじったのを思いだしたので買った。

いわゆる、いまよかれとおもってやっていることこそ上司と部下の関係を悪くしているのですよというお話。上司と部下の「イノベーションのジレンマ」版でしょうか。できない部下を「作り出している」上司の行動は、「彼はできない」と認識したことから始まっているというもの。言われてみればあたりまえなんだけど、文字にして詰めている人はいない。

でもみな部下の時代があって、上司に対してはいろいろ考えるにも関わらず、自分が上司(とはいっても社長にでもならないうちはまだ誰かの部下なのだが)になったとたん部下の気持ちがどっかに行ってしまう様に映るのはなぜか?

ないものねだりをしてもしかたない中、できる人をもっとできるようにするのは大事。そしてできない人をよりできないようにすることを防ぐのもまた大事。このできない人の位置づけは読んだ感じだと、2-6-2(これが正解ではないけど)の6の下側3人と映る。

上司の常識が部下の希望を奪う。たしかに。

ちなみにできる部下をどう扱うかは書いてません。そもそも「できる奴をもっとのばしたいのだが」という課題は、「できない奴をどうしたらいいか」という課題には負けるのです。

P72の図3-1だけ見てみると悪循環が見えてくる。おもろい。

コーチング(名前の是非はともかく)のようなものをやろうと思う前にこの本読んで本質的な前提(コーチングすることが必要なのか?)を考える方が先ではないのか?と感じる。