新興国

  • 現状認識

長期的に収益機会は海外にシフトしていくことは議論の余地のないレベルに達している。その中心市場はいわゆる新興国とよばれる国・地域である。これまでの経験から、新興国戦略立案の大前提となる現状認識は3つになる。

  • アライアンス

まず、自社だけによる当該新興国市場での自律成長は極めて困難、かつ時間を相当要する。これは、当地特有の商慣行と人材インフラ(僅少さと未成熟さの両方)が主因。よって、組む相手との相性とクロスボーダーで事業を回していける自社人材がどれだけ居るかが重要になる。

  • 多様なプレーヤー

次に、競争環境については、当該新興国市場の競争の激しさは先進国市場を勝るか、自由化以前同様に寡占化が進んでいる。特に、グローバルなプレーヤーの参入数の多さは先進国の比ではない(みな同じ場所を目指す故に)。よって、日本市場を中心に、あるいは日本市場での戦略立案に慣れてしまっていると戦い方のバリエーションが貧困になってしまうことが日系企業にとっては課題となる。

  • 低所得セグメント

最後に、市場の最も顕著な特性は、先進国にはない消費者構造の存在である。いわゆる低所得セグメントの存在。ここをしっかり攻めている日本企業は、電機・自動車を除けば、知る限り3社のみ(すべて食品企業)。上から下までセグメントの幅が相対的に広い。セグメントは2〜3年周期で見直す必要がある。

  • どうしても最後はグローバル人材

また、新興国への日本企業の対応を経営機能別に見ると、最も進んでいるのが製造機能、最も旧態依然として新興国への対応が出来ていないのが人事機能になる。これは日本人という均一性上やむを得ない。ただ、もうそうも言っていられない。