「銃・病原菌・鉄」

なぜこれほどまでに世界は違うのか?という問いに、決して人種的優劣の結果ではなく、地理的条件に起因する保有資源の違い、という仮説を提示するスケールの大きな内容。以前本で読んでいたが、今回DVDでまた見ることに。

文明発展の礎となる人口の増加を支えた資源は、作りやすく、栄養価の高い穀物(小麦や大麦)と食料かつ穀物の大量生産の道具となる家畜(山羊・羊)だった。

これら資源に最も恵まれたのは肥沃な三日月地帯と呼ばれた現在の中東地域。
発祥の地域は中東地域ながら、気候の類似した東西にある地域(ヨーロッパ、中国)でより研ぎ澄まされた文明が後に大きく発展することになる。銃と病原菌と鉄ゆえに。

家畜を起源とする病原菌(天然痘)は、ヨーロッパ人の侵略先での「武器」となって、侵略側にとって優位に働く。また、家畜は生産手段のみならず、移動手段となっていたが、家畜飼いの技術は移動手段の操作技術につながり、戦闘における競争優位となる。

欧州では文字印刷の技術が時間を超えた知識の共有化を実現させ、より高度な戦略を生み出す資源となった。文字の発祥はくさび型文字を生みだした中東のシュメール人なのだが。

ヨーロッパとの対比として中国に関する考察は全くといって顧みられていない。爆薬、印刷技術など中国が世界初と考えられているものが多いにも係わらず、その後の展開がヨーロッパと異なるのはなぜか?
こうみると、中国の歴史上最も領土拡大を実現したモンゴル帝国を深掘りしたくなる。