「The Final Cut」

頭に埋め込まれた記憶チップが自分のすべての経験を記録する時代では、本人の死後、遺族による「追悼上映会」という名の下、その「記録」の編集映像が遺族の前で披露される。もちろん、編集者による「編集後」の記録は、美しいものに仕立てられる。ただ、自分の経験は、自分の死後、すべての人に共有されてしまうという時代であり、非同時的に常に監視されている息の詰まる社会でもある。忘れる、もっというなら、執着しないという機能をしっかり持つことで人の精神衛生は保たれているのかもしれない。