頭のよさ

2日分取り返す意味でも、今日はちょっと長めです。

現在毎週金曜日2コマ連続の授業Disruptive Innovationsをとっており、この学校のMBAのOBという縁もあるらしく、
イノベーションへの解の共著者であるマイケル・レイナー氏がその授業をしています。若いです。30代後半―40代前半といった感じです。このビジネススクールに来て2年近くなりますが以来、ペンティアム4を何個も頭につんでいるようなタイプの“ハイエンド”の秀才の学生・教授とよく出会ったりします。授業中の発言などにおいて際立って突出した頭の回転の速さを、こっちが悲しくなるほど、見せ付けてくれます。レイナー氏は確実にそのタイプに入る人だと授業を受けるたびに思います。

過去を振り返ってみると、この類のタイプの人が一人います。大学の経営学部に金井壽宏という助教授(当時)がそれにあたります。いい加減な学生だった(いまは違うで(?))私も経営管理論という組織内の人をテーマとした彼の授業だけはなぜかほぼ出てました。その当時から彼の授業は人気がありました。いまではかなりいろんなところで活躍している模様。
混沌の中に秩序を発見する洞察力そして、それを表現する言葉の簡潔さと豊かさ。とかっこよく言えばこんな感じですが、それに富んだ人でした。そして、大学時代に聞いた、この先生の放った“あいまいさへの耐性”という1つ言葉だけは10年経ってもなぜか覚えています。
(プライベートにおいて感じるのは、楽器を弾くのがやたらうまい人。私は楽譜が読めません)

さて、天才系あるいはハイエンドの秀才系に出会ったときの私の反応は以下のようになります。

  • 自分と比べるのをやめる
  • 何か学べないかと、その発する言葉に耳をそばだてる。

そして、彼ら彼女らはどこかで、天才的なひとに師事していること。(接点をもっていること)
先ほどのレイナー氏の師匠はハーバード大教授のクリステンセン。金井教授の師匠は、エドガー・シャインMIT名誉教授。
やはり、本人の素養もあるとは思うけど、才能と才能の接点から生まれる暗黙知、師弟関係による学び、2世の帝王学というのはもっとも贅沢な学びの機会なのかもしれません。

そして何より、上のような2人は“影響力”で飯を食っています。それは、職場で権限をもった上司がもつ影響力とはまったく異なります。(上記2人が決して実行しない人であることを言っているわけではありません)“実行力”で飯を食っている人はたくさんいますが、上記2人が持つような影響力だけで飯を食える人はそういません。個人がブランド化がしちゃってます。


頭がいい、って(私が思う)人のその特徴なり定義を今までの私の経験とあわせてまとめると
1) 批判な人
批判的な視点を武器としているひと。簡単に信じません。疑う秀才です。シニカルさをユーモアにします。1年生のときの同級のLucaがそうです。
頭がいいことを人に“披露”する最も簡単技術は、批判的にモノを見ることです。鋭い視点から、ある課題の足りない部分を指摘したりするというのが主な特徴(チェックがうまい)。こういう人は必ず組織にいると思ってます。でも多すぎてはいけないです。コミュニケーション上大きな誤り(けちをつけているように見えない)がなければ、大きな戦力です。でも創造性の面はそれほどでもないですが、人が当然と思っているところにあらためて光を当ててくれます。Devil's advocateの役割を果たします。

2) 洞察な人
この学校にも講演に来たハーバード大教授のクリステンセン氏。時間が経てば当たり前と世間では受け入れられる洞察を一番最初にやっちゃう人です。
この人の先ほどあげた著書、日本語にもかかわらず、ああでもないこうでもないとほぼ毎日読んで3週間かかった本でした。あまりのすごい洞察と示唆の多さに圧倒されてしまいました。消化し切れません。質問もいっぱい残ります。
ここまですごくなくても、混沌の中に一筋の秩序を見つける、あるいはホントはこうなんじゃないか?と常に仮説を頭のなかでめぐらせている人です。

3) 矛盾な人
矛盾した考えを同時にもっているのに、安心していられる人。考え方に多面性がある人。システム思考ができる人。これが、さっきの“あいまいへの耐性”にあたります。かの教授いわく、企業のTOPにはこれがもっとも必要らしいです。“矜持と諦念”という考え(英語では“Creative Tension”の考えに近い。詳しくは以下著書最強組織の法則(題名が誤解させてます)に近い-HKのK氏が会社面接で乱用(活用)したPeter Sengeの考えです)がリーダーシップをとる上で欠かせない素養であるらしいとのこと。答えにたどり着くための質問がたくさんできる人です。

4) 博学な人
物知りです。へーとうならせる人です。“現代用語の基礎知識”を読むのが趣味と言い切っていた学生時代のバイト先の店長のような人です。知識習得に貪欲です。なにか判らないことがあると聞いてしまいます。事実に関しての答えをたくさん持ってます。

5)ユーモアと機知に富んだ人
決して吉本の芸人(?)をさしているわけではありません。笑いをもって他人の頭を活性化するのに、雰囲気を作るのに非常に貢献する人です。そういう観点からすると心理面での影響力が多大です。絶対に組織に必要です。

私が個人的に好きなのは、2)と5)のコンビネーションがある人です。

最後に、こういう人たちに会っていつも思うことがある。どういった形であれ(パートタイム、アドバイザー、コンサルタントなど)、“この人たちは一体いくらで働いてくれるのだろう?”ってことです。
ちなみに、クリステンセン教授の持つ会社http://www.innosight.com/
Innosightによる2日間の企業幹部向け向けセミナー(コンサルではない!)でUS$40,000也。クリステンセン教授本人、2003年3月にうちの学校に来て講演2時間 US$50,000也。Lucaの給料はしらないけど、とってもお金が足りません。

上記に記したような、ある領域での頭のいい人の知恵や能力を結びつけたりすることで、実際に何かを作っていけるか、そこに集中していくこと(組織の力に変換していくこと)が自分の生きる道なのか?と思ったりします?

注:上記の人たちに対する評価は、あくまで私の目線の高さからみた頭のよさであることを了解願います。(絶対的なものでないということです)あと実業界の天才には時間の都合上述べてません。また、EQにまつわる話は、私の所属するクラブの話とあわせて、また別の機会に書きます。