予算

残りの授業もすでに12コマとなった。そしてあと2日で4月1日。ここロンドンももう十何度まで気温が上がるようになった。

新学期、入社式の日であり、多くの会社組織にとっては新会計年度の切り替わる日でもある。つまり新しい予算が始まる日。今、(なぜなら今まさに授業中だから)Management Control Systemsという授業での予算をまったく使わないあるスウェーデンにある銀行について。ここでいう予算とは収入と費用の予定である。(キャッシュの出入りの予定ではありません)

振り返ってみると予算とは何度もいい意味でも悪い意味でも格闘した。
まず静岡時代。
10-12月予算編成期、1月予算調整期、2月は配分期。
10月“こんなことして暇ないねん”(関西弁ではなかったと思う)と言う50人あまりの営業さん達に頭を下げて捕まえ、担当地域の全体需要を集め、需要マップなるものを作成。
(分母をいじればシェアが上がる!という裏技を教えていただいたのもこのころです。そしてこれが上司とのけちのつけ始めでした。)利益よりシェアを重視すると方針であったため、(実は存在しない)需要調査から始まるのです。

11月 なんだかんだと、お客さんも営業も分からない製品需要を勝手に積み上げてやってみるものの、どうしても今年の見込みに足りない。“営業がかくしてるにきまってるやろ!”という上司。さすが課長!

11月後半から12月中旬は、営業の顔色がまじめな顔に変わって来てました。“どうせ年度内に予算変わる”とは同年代営業のコメントもありましたが、(実際、年度内の8月で下期(10-4月)の計画は変わった) どこからともなく数字を持ってきた(?)上司に感心したものです。業界全体の前年比を上回るという慣例に従って、着地に成功です。この時期は異常に残業が多かったのを覚えています。(投資銀行の人たちほどではないけど)

しかし、予算はここで終わらない。
12月 天からの声でトップによる配分予算。つまり収入の積み上げです。他の部門の穴も埋めないと。
このように静岡時代、営業所全体の予算計画の中心にいてつぶさに予算なるものを見ていた。面白いことに、その費やす時間、動員されるのべ人員、十数センチにも及ぶファイル、会議の数、そして予算作成終了時の事業部との打ち上げ(宴会?)、予算作成はまさに年内一大イベント。“計画をしっかり作らないと実行できない”とこの時期もっとも忙しい企画課長。
一方、京都時代。予算策定になぜか夢と気合がありました。徹夜もしました(まともに働いてないけど)。過去の慣例はなかった。利益重視だった。(気短に利益を求めるトップでした) 他の部門からすれば豆粒でした。えいやっ!の部分が多かった。でも作っている人たちにコミットメントがあった。たとえそれが報酬とはつながっていなくても。会社作るんだからあたりまえかな?

授業に戻ります。
予算を無くしたら、人は不安になるだろうと思っている。予算に代わるよりどころがなくなるからである。
また、自分のいる会社の予算の視点から見てみて、毎会計年度が予算からそれほど動かない会社、業界というのは、ダイナミックスさにかける。(教授の言葉ね)

予算には2つの前提となる仮定があります。
“明日も同じ天気”と“明日は違う天気かもしれない”
明日が同じなら、やること自体は変わらない。いまやっていることを効率的にやればいい。だた人にこうしなさい。という方法がもっとも効果的な会社の運営方法になる。

明日が違う、と思えば、今日の夜傘を用意するだろう。まあぬれてもいいやという気持ちがあっても、雨に濡れることで風邪をひくリスクを高める。(でも所詮風邪を引くだけです)雨ですめばいいけど。

予算は必要悪?
予算が役に立つ状況、役に立たない状況は業界、会社、運営方法ごとに異なります。
その中でも共通の問題と思われるのは、お客さんの移管の問題である。ここはなんかヒートアップしてるぞ(実況)

予算と個人の報酬を結びつけるべき?
なぜ予算は1年単位?会計年度単位ごとに仕事は進むわけではないのに?
こういった形で議論が進んでます。

今、鉄鋼市況が熱いです。中国の無尽蔵の需要が世界中の鉄の値段を押し上げています。北米のスクラップ鉄まで飲み込んでいるそうです。鉄を扱う商社は嬉しい誤算です。はっきり言って来期の仕事はもう終わりです、といったことを先日、鉄の商社の方と飲んでる時に聞きました。

今、インセンティブとして金が有効かどうかという議論が白熱してます。金のインセンティブには臨界点があります。人のお金に対する満足度も臨界点があるからであります。
インセンティブとして、金以外の要素でどれだけインセンティブを与えられるか?という質問の方がより適切な質問である。それを考えるのが経営者の仕事ではないのだろうか?などなど。

そして、“ビジョナリーカンパニー2”から2つの哲学。
よい給料→よいパフォーマンス?
よいパフォーマンス→よい給料か?
どっちの哲学に重きをおくかで、いろんなところで変わってくる。

最後のスライド。
挑戦的な仕事をあたえることがお金のインセンティブに変わる最有力候補。(誰かちょっと覚えてません)

ほんと、正しい答えが得られるかどうかではなく、経営哲学の問題です。
(授業終了。尚、この場では授業内容の30%ぐらいしかカバーしてません)