下から教えられても平気か?

「年功序列」という制度がなぜ、知識社会的な労働慣行においてその有効性を持ち得ないか?
考えられるのは、年功序列では、知識や知恵の伝達が上から下へ流れるという一方向であるから、下から上へという流れが起きない。それは年功の人が年功でない人から学び取れないという精神的構造と深く関係している。知識社会的な労働慣行下では、上から下、下から上、横から横同士へと知恵や知識の還流が起きる。これは年功序列下の労働慣行ではよっぽどのことがないかぎり起こりにくい。ミクロで見て、例外などはままあるだろうが、大きな流れを覆すほどではない。特別な組織で特別な形での年功序列下で起こりうることにしか過ぎない。素直に上から学ぶのではなく、素直に下から「も」学ぶことが無意識レベルに落ちるかどうかだ。そう考えると、謙虚な人というのは、本質的にこの知識社会の労働慣行に一番準備ができている人と言える。