必ず理由がある

-ストレス耐性が試される

相手には必ず理由があるはずだから、それを相手から聞くまでは、決め付けること、自分の事情だけを伝えること、この2つをやっていけない。理由を聞いてからだ、何を伝えるかを決めるのは。(ボス)

  • Routine work doesn’t make me survive

1年でやったこと同じようなことを40回繰り返すことの価値が薄れている

ルーティンを好むのは、人間の習性なんです。なぜ変われないかというと、ルーティンが一番心地よいし楽だから、変わろうと思っても変われない。そういった仕事は、"情報処理"であって、Knowledge(知恵)とはほど遠いわけです。

思い込みと思い入れの差はどこからくるのだろうか

Knowledge(知恵)というのはjustified belief(信じられることによって支えられているもの)ですから、すなわち、やりたいこと、仮説、問題意識といった自分の"思い"がなければ"知"を生み出すことはできないわけです。"思い"の次は、commitment(強い執着)があるかどうかが分かれ目になります(中略) knowledge worker(知恵を生みだす者)というのはこれまでのマニュアル・ワーカーと違って、与えられたことをやるのではダメです。ピーター・ドラッカーも言っていますが、how to define the task、つまり、仕事の定義を自分でやって、セルフ・コントロール(自己管理)をする必要があります。そのためには強いdiscipline(規律)が必要です。最終的には、自分でコンセプト(概念)を作れない限り、"知"を生み出すことはできないのです。

コンセプトを作るには直接体験

一つは、Belief(信念)ですよね。Belief(信念)はどこから生まれてくるかというと、"直接経験"からです。アタマで考えるより、自ら新しく質の高い経験にチャレンジするべきです。"思い"やcommitment(強い執着)に一番つながるのは直接経験なんですよ。そこから出てくるのはawearness(気づき)ですね。これをいかに概念化するかという問題になってくる。ですから直接経験をベースにした"思い"を"言語化"する、ということを、常時しつこく追求する態度も必要です。いつも考えているという態度。「強い執着、気づき、しつこさ」が大事です。

概念で考えることを教えるのはこれまた骨が折れる

かつての日本人は、今よりもっとconceptual(概念で考える傾向)だったと思います。幕末から『坂の上の雲』の時代まではですね。その一つの理由というのは、武士は小さい頃から漢詩の素読を徹底的にやっていた。漢詩というのは、自分の"思い"を、最小の言葉で最大限美しく表現する概念化の方法論なんです。それを武士は子供の頃から"暗黙知"化していたのではないでしょうか。彼らは作法として、いつでも死ねる覚悟があったわけで、つまり自分の"思い"を持っています。何のために生きているのかをいつも考えている。死に臨んで、硯と墨で辞世の句を書いたでしょう。それは自分が何のために生きているのかという"思い"を短い言葉で書くわけです。武士は"体育会系"の存在なのですが、この一点において、今の日本人が持たない"概念化能力"を持っていたんでしょうね。 人間は、"死"を意識した瞬間に、何のために生きているのかを考え始めるんですね。それを考えない限り、堕落してしまう。自分の日々の中にどこまでそういった"クリエイティブなルーティン"(意図的かつ創造的な活動)を組み込むか、discipline(規律)が持てるかということでしょう。

絶対安全な場所はない

終身雇用には、少なくとも"経験知"は持続的に集積していくことができるメリットはあるんです。しかし、"概念知"をつくる妨げになるかもしれませんね。自分は何のために生きているのか、何がやりたいのかという、本質的な問いに対するcommitment(強い執着)がなければ、"知"を生み出すことはできません。そしてknowledge worker(知恵を生む者)たるものは、自分を律する非常に強いdiscipline(規律)を持っていなければならないのです。

野中郁次郎氏へのインタビューから)