正解があると思うことの悲劇

いたずらに正解を求めようとする姿勢が強い人や組織にとって、あるべき姿を立てて、そこから現状とのギャップである課題を解決しようというアプローチはあまり有効ではない。その人や組織が「あるべき姿」というものを決められないのからである。「あるべき姿」を一度決めてしまうと、「他の、もしかしたら正解かも?という姿」も同時に捨てなければならない。一方、いたずらに正解を求める姿勢が有効なのは、「今日より明日良くなっているというアプローチ」である。「今日より明日アプローチ」は、先ほどの「ギャップ・アプローチ」より達成の見え方が顕著で、人や組織の満足感が強いため、その姿勢はますます強化される。しかし、今日より明日を1000回繰り返しても、ほんとうに自分が行きたいところに届くとは限らないところが怖いところでもある。手段と目的が入れ替わることが頻繁に起こるからである。