「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」

「お金で失う心がある」とものすごく本質をついたメッセージを隠しながら、同義をあえて「お金で心は買える」とエキセントリックに表現してしまう人の逮捕を見てなんとなくぱらぱらと読んで。

営利の追求を敵視するピューリタニズムの経済倫理が実は近代資本主義の生誕に大きく貢献したというきわめて逆説的な説を展開した本。「職業倫理を喪失した資本主義は、営利追及の精神のみが人々の間に外圧的に存在することになり、健全ではない。」と。

この人にこの服はちょっと似合わないなーと思いながらも、月末近く予算もあり、売り上げ優先で、ついつい(押し込みがちに)売ってしまう百貨店店員、あと数百万で予算達成という圧力に屈して、嫌がるお客に押し込み出荷をしてしまうセールスなどというのも職業倫理違反という一面を併せ持つ(黒ではないが)。このように企業活動において、損益のトップライン(一番上の行:売り上げ)を担う人は往々にしてそういう圧力にさらされる。そしてその最終ライン(売り上げの最終責任者)の社長の圧力はもうその他の人に比べれば桁違い。やっぱり本人の言うとおり、「(彼の)心は金で買われた。」自分のことを言っていたのかもしれない。