事業の寿命

事業には寿命がある。
寿命とは、事業への投資に見合った利益が上げられる期間、のこと。
だから、
①事業を入れ替える、あるいは、
②事業そのものを転換する(事業のやり方を変える)、
という2つのことをしないと、企業そのものが寿命を迎えることになる。

なぜ、事業には寿命があるのか。
大きく2つ。事業の存在意義、つまり「事業」が提供していた価値の恩恵を受けている消費者の考え方が変わるから。
もう一つは、技術の進歩が、より効率的に、より価値の高い商品やサービスを提供することを可能にするからである。
「アマゾンのロングテールは、二度笑う」の中で、鈴木氏は

自分のいる場所、つまり市場を分析し、再定義して、自分が戦うのに都合のよい市場、つまり戦うべき有利な「土俵を選ぶ」能力が、戦略の第一の基本。そして、自分の強みを生かして、「集中する」ことが第二の基本。

と、して8つの土俵の選び方を型として提示している。もちろん、これらがすべてではないが、「型」なくて応用なし、なのだろう。
「いま、自分のいる事業は10年後どう変わらざるを得ないのか?」
少なくとも自分が年金をもらうまで(?)にはもう一波乱あるということ。
消費者の本質的「欲求」は変わらないが、「顕在の仕方」は必ず変わるのだから。

優秀な人ほど、「真の実力があれば、(市場の)足場の悪さは関係ない」という考える傾向がある。

  • 今、自分にないものと向き合うことはつらい

コンサルティングの現場で接する企業の一部の人々のなかには、一言で言えば、「現状打破」という言葉に収斂される思いを持つ人がいる。
今のままでは駄目だ、成長したいという欲求は、本質的には、現在の自分の、今できることの否定につながる。
なぜなら、成長というのは、「今、自分や企業にないものを手に入れる」という行為だからだ。
ただ、それは簡単ではない。

逆に、成長をしなくてもいい、今を維持したい、あるいは関心がないという欲求は、現在の自分の能力の肯定につながる。
そして、この肯定したいという欲求は、自分から見て他者の規格外の能力、視野外の視点、想定外の事態・世界を見せ付けられたとき、徹底した自己の正当化に走る。

自己の正当化が人間の業であるなら、正当化を回避する一つの方法は、なくなき成長への欲求なのかもしれない。ただ、これも簡単ではない。そして、後天的に獲得できる精神姿勢ではないのではないだろうか。