「企業は人」は本当か?

全く何が課題なのかの事前情報もなく、電機業界関連のメーカーでのヒアリング。こういう時、ひたすら聞く。ただ、聞くということは質問をしなければならない。まず、背景から聞く。要は、我々を呼んだ訳を。経営課題は複雑化する一方だが、その場で簡易的であっても確実にしかし素早く紐解いていかなければならない。相手は様々な思いや考え、悩みを抱えている。だから、まず受け止める。これに専念する。

注意しなければならないのは、自分も含め、人は事実と意見をごっちゃに話しがち。だから、相手の話したことを「事実」と「意見」を分けて記録するということ。これは第三者でしかできない。そして、事実という「事象」を「原因」と「結果」に分ける。さらに、どの事象とどの事象の関連性が深いかを結びつけて、最後に「真因」を探す。これをヒアリングの最中にできるのは相当な腕がないとできない(言葉で書くと簡単そうなのだけど)。自分にはまだまだ。職場に戻って考えてから出てくる。これでは遅い。

そして、どんなヒアリングにおいても、相手がピクッと動くときがある。人材の話になった時だ。「企業は人」と誰しもが思っている、と思う。が実際、人を大切にするというのには、どうしても視点の違いがある。雇用(=コスト)を提供しているからというレベルで「人を大切にしている」。雇用は前提とした上で、どう付加価値(=トップライン)を高めてもらうかに焦点を当てて「人を大切にしている」レベル。大きく2点に分かれる。経験値ながら、前者が圧倒的に多い。

一言で「企業は人」、といってみても、その本質的意味合いは決して同じではない。そう感じざるをえないヒアリングだった。

そして、うちのボスの小さい声で淡々とささやく姿。静寂の中だからかもしれないが、見習うべき技。