「他人を見下す若者たち」(速水敏彦)

自分以外はバカ、という帯。アホという言葉は平気だが、バカと呼ばれることには敏感な関西人には応えるか。
責任、負担、主張。
これらの単語の前につくのは、すべて「自己」。
自己責任で株。
自己負担で社会保障
自己主張で差別化。
ここ10年で押し寄せてきた制度のしくみや個人・組織のあり方を支える考え方たち。
経済的利害関係を除く他者とのかかわりに割く時間が、忙しい!というもうどうにもとまらない状況下で、一方的に減っていく中で、自己をなんとか保っていかなければならない、となれば
著者の言う「仮想的有能感」(周りはみんなアホ)を持てば、自分は救われる。いわば自己救済。
若者に限らず、皆あるということ。
海外にいろいろ住んで、すごい人に出会うことが多かったわけかどうかわからないが、むしろ「自分は見下されているのではないのか?」という気持ちのほうが妙に強い。
「景気がよくなったというだけで」、自信を持て、日本人!のような本が多く出版されるのは、やはりフランスの外相が昔言った、日本人はエコノミック・アニマル的気質故だろうか?
景気がよかろうが、悪かろうが、マイペースがいい。個人的には。