雨・あめ・アメ

  • 「The Global CEO Study 2006」

昨年IBMが出した、世界中のCEOへのヒアリング報告書。何にせよ短期間内にイノベーションが必要だ、という調査結果。15世紀にポルトガルが香辛料買い付けのためのインドへの新航路(喜望峰経由)を発見して、それまで地中海貿易を仕切っていたベネチアに強烈な危機感を醸成させるのに十分な新しいもの。

イノベーションという言葉を「技術革新」という陳腐なレベルではなく、「いま世の中に存在しないもの・やり方」と広く考えないと、研究開発部門だけの課題のようになってしまうのかもしれないが、この報告書はもちろん後者。

イノベーションの対象領域は以下3つ。そして問題意識としては③に力を入れないと!という内容。①市場・商品・サービス(市場への進出の方法、製品・サービスのあり方そのもの)②オペレーション(経費節減や在庫削減)③ビジネスモデル(事業そのものの組み立て方)
と、ここまでとても綺麗。しかし、進歩は素敵な言葉だが、変化は進歩の動因であり、そして、変化には敵が存在するというR・ケネディの言葉が立ちふさがる。

人間が変化に抵抗する理由は大きく6つに分かれる。
①変化は失敗する機会でもあること。そして、人は本質的に失敗を嫌う。できるだけ失敗しないように自分の人生の大半を慎重に活きていくことを推奨する企業においてリスクを犯して敢えて変化を選択することはないのは当然かもしれない。
②すでに成功していること。なんでうまくいったことを変えるのだ?変化後に想定する次の成功を掲げる難しさがある。つまり腹に落ちにくい。
シニシズム(経営者や上司への不信感を抱く学習性無力感をもっている)
④既存ツール(プロセス・プログラム・手続き・やり方への偏愛・慣れ)
⑤以前の苦い経験(もう変化には懲りている。変化≠成功というマインドセットがある)
⑥支配権の喪失(自分がハンドルを握っていない。参画意識がない)
これをどう乗り越えてもらうか、が知恵の絞り所。